お世辞は口から、感嘆は心から・・。
他人の真価を認めた発言は
人を明るい方向へ自然に導くと
感じた経験があります。
小学生の頃、花壇を手入れする
私たちの横を
教頭先生が通りかかりました。
クラスメイトのAさんは
いつも控えめで
いるのかいないのか分からぬほど
大人しい子でした。
皆が教頭先生に向かって
元気よく挨拶するなか
一人うつむいて
黙々と作業を続けています。
教頭先生は、かがんで
Aさんの作業を手伝いながら
ふと顔を上げた
Aさんのお顔を見るなり
こう言いました。
「あなたはきれいな瞳を
していますね。
心が清んできれいな証拠
なのでしょうね」
Aさんは恥ずかしそうに
頬を赤らめ
きゅっと結んだ口元を
緩めて笑いました。
初めてAさんが笑ったお顔でした。
教頭先生のおっしゃる通り
Aさんは少女漫画に出てくるような
キラキラとして
澄んだ瞳を持つばかりか
顔の造形がうっとりするほど
美しいことに改めて気づきます。
教頭先生が発した
ささやかなその言葉は
クラスの中で目立たず
控えめだったAさんにとって
もしかすると
魔法のような言葉
だったのかもしれません。
Aさんはその日を境に
少しずつ皆の輪の中に入って
明るく笑うことが増えました。
”どんな人間でも何かの点で
私より優れている。
私の学ぶべきものを
持っているという点で・・”
(米の思想家エマーソンの言葉より)
率直で、お世辞ではない
心から相手の存在を認める
誠実な言葉(評価)は
向き合うその相手に
自身の存在の大切さと重要さを
改めて喚起させるのでしょうね。
たとえ、あの日
件の言葉を放った
教頭先生ご本人が
すぐにお忘れになったとしても
言われたAさんは
きっと何十年経った今でも
その言葉を忘れずに
胸に抱いているような気がします。
脇で一緒に聴いた私の胸にも
こみあげるような温かな思いが
優しい教頭先生の眼差しとともに
思い出されるからでしょうか。
相手の真価を認める言葉。
日常でも、気づいて
使っていきたいなと思いました。
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今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
小松万佐子から皆様へのメッセージ
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