この時期になると就職活動について尋ねられることが増えてきます。
各社の面接や試験に向けてどのような準備をすればよいかについては、皆さんそれこそ一生懸命にそれぞれ志望する会社についてリサーチをかけていらっしゃることと思いますのでまずは相手をよく知るための事前取材はきちんとしておくこと。
特殊な職業、例えば私の経験したマスコミの世界、特に新聞社や通信社については各社癖のある難関な1次の筆記試験を突破しないこと(社によっては仮面接の後に筆記)にはアピールするチャンスすら与えられないわけですから、まずは試験の傾向と対策をしっかりなさることだと思います。
時事問題や一般常識の難易度は新聞・通信社の入社試験や国家一種の筆記試験ほど難関ではないと思いますが、筆記のある会社ではどこであれ多かれ少なかれ問われることなので、せめてここ1年分くらいの新聞ダイジェストには目を通され主だったニュース、またそのニュースに絡む専門知識の概要や関連する歴史、そして時事用語などを中心にきちんと押さえておかれると良いと思います。
入社後の社会人になってから役立つことでもあるので、この機会にぜひおすすめします。
また、志望動機については問われている質問の意向をしっかり汲むことがまず大切です。
そのうえで「これだけは力を入れた」というこれまでの人生で経験した、あるいは学生時代のエピソードを中心に、志望動機をまとめてみるのですが、まずはあれもこれもと欲張らずご自分が最も力を入れたもの、最も伝えたいことからじっくりまとめてみましょう。
書き上げたものは、できたら周りの人に一度見てもらってすんなりと頭や心に入ってくるかどうかをみてもらうとよいかもしれませんね。
良いことを書きたいばかりに、文章や表現をこねくり回し過ぎている方が多いので、できるだけシンプルにわかりやすくまとめることをお勧めします。
志望する会社が求める人材については募集要項にそれとなく記されているはずです。
入社試験や選抜方法が特殊な会社以外、まずはそちらにしっかり目を通したうえで、その会社が求める人材をしっかり把握し、それらと自分の内に数ある引き出しの中から結び付きやすい最も最適な要素を選び出しうまくアピールすることを考えてらっしゃればよいと思います。
志望動機を記入される際も、面接を想定しながら書かれると良いでしょう。
志望動機を見ながら面接官たちは質問をしてくるわけですから、こちらから誘導するくらいの気持ちで「ここを突っ込んで欲しい」という最大のアピールポイントにしっかり繋がるよう書いてみてください。
「面接の場でどういうことに気を付けたらよいか」ともよく聞かれます。
何よりも、その場での ”生のコミュニケーション” にしっかり集中することでしょう。
用意したシナリオがあると、人はとかくそのシナリオに頼りがちです。
ですが、面接官が見ているのはその場での臨機応変に対応できる能力だったりするので、用意することはもちろんしっかりしていただいてもよいのですが、一度土俵にあがったらその場の生のコミュニケーションにひたすら集中することだと思います。
相手があってのコミュニケーションですから、しっかり、けれども余計な詮索はせず素直に、相手が何を問うているのかを聴き取ることにまずは集中します。
よく相手の質問を深読みしすぎて返答に窮する方もいらっしゃるようですが、そこは、殊に学生相手には引っかけや裏のある質問などをしてくることは少ないので素直に受け取り、素直に答えていただければ良いと思います。
「どうやって今朝はここまで来たの?」と別の地域から面接に出向いたあなたに面接官が尋ねたのでしたら、それはあなたの緊張をほぐすために最初の軽いジャブとして身近な話題を振っているだけです。
あえて、これを難しく「この質問の裏にある真意とは?」などと考えだすと、どの質問に対してもおかしなスケベ心が働いてしまいうがった受け取り方になるのですからまともな会話のキャッチボールになるわけがありません。
結局、キャッチボールに際して自分の胸から相手の胸へと取りやすい位置へ素直に投げれば良いはずのボールを、わざわざ取りにくい位置へ投げるのですからまともなキャッチボールになるはずもなく・・。
本来伝えたいことは何一つ伝わらずに終わってしまいます。
もちろん、面接官はさまざまなことを見ています。
表情や所作はもちろん、受け答えの仕方、言葉の選び方、機転のあるなし、あるいは物事に対処する際の誠実さ、適応能力など。
もちろん社によっては特殊な能力や専門技術を持つ人材を、たとえ新人であっても求めているケースもあると思います。
けれども大半の会社は自社に入ってから伸びていく、若者の備え持つ素養や基盤を見たいと思っているわけです。
これまでの物事への取り組み方をエピソードから伺い知ることで、そうした素養や基盤がどのように育っているのか、その実現ぶりを見てもいます。
どんなに格好つけてわかったようなことを言っても所詮は学生の考えること。
洗練され、非常に高度で精巧な知識や技術を持つ者以外は、皆、これからの伸びしろとあらゆる可能性をみてもらっているのです。
ご自分が得意なことはどんなことであれぜ、ぜひ堂々とアピールしていただきたいと思います。
ただし、その強みや長所が相手が話している話題に即したものかどうか、出すタイミングだけは誤らないように気を付けてください。
また、下手に背伸びをすることのないよう気を付けましょう。
ご自分に高下駄はかせて大きく見せたり、相手に媚びたりしたとしても、そんなことは人生の、あるいはその道が長い先輩からは透けるようにお見通しですから見栄や虚飾を張るような無駄なことには決してエネルギーは割かないことです。
ただ純粋に、その会社や仕事への熱意を再発見、再確認し、そこでワクワク、イキイキと働きながら人として成長していく姿を想像して等身大の ”今のご自分” と向き合う時間にしていただきたいです。
「どんな学生を採用したいか」はすなわち、結局は「一緒に働きたい人」だと思っていただけると良いと思います。
それぞれに個性や特徴のある学生さんがチームになった際にどういった役割を果していってくれるのか。
それも、もちろん大切な視点でしょうけれども、そんな表面的なことよりも入社面接で見られるポイントはもっと本質的なところ。
要は、究極的にいうのであれば「この人と一緒に泣いたり笑ったりしながら何かを世に生み出せるかどうか」「うまい酒を飲める仲間なのかどうか」という ”一人の人、仲間として" なのだと思います。
さあ、いかがでしたでしょう。
あれこれ難しく考えてらした読み始めよりは、少し気が楽になりましたか?
ぜひ、堂々と臆することなく、ご自分がこれまでやってらしたことや強みをその場、あるいは質問者の放つ話題の空気だけをしっかり掴みながら思いきりアピールしてらしてください。
準備は万端に、けれども、その場に行ったらその場だけに集中し余計なことは思い出そうとせずに、そこでできる最大のパフォーマンスを繰り広げていただきたいと思います。
既に始まっているであろう就職活動が、皆さんにとって人生の新しい幕開けに際して大いなる飛躍の起点となりますよう心よりお祈りいたしておりますね。
(就職相談、面接対策、志望動機のまとめ方、対人恐怖症の克服などのご相談にも対応させていただいております)
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