私たちは皆、それぞれに
異なる人生の経験と
それに結びついた ”ことばの意味づけ"
を持っています。
生まれてから今日に至るまで
果たしてどれだけの言葉を学び
ご自身の引き出しに
しまってきていることでしょう。
こればかりは一人一人の
人生に生じる様々な経験とセットで
言葉の意味を覚えたり
それらを表現するための方法を
身につけているので
個体差があるのは当然です。
カウンセリングをしていると
目の前にいらっしゃるクライエントさんが
私の用いた言葉に
反応なさることがあります。
それはあからさまにわかるほどに
言動、表情やしぐさが
変わることもあれば
押し殺したようにして
わからないようにしていたり
表れ方は様々ですが
そうした見逃してしまいそうな
微細な変化を私は逃さずにいるので
さりげなく相手の真意を
角度を変えた対話から
一つ一つ確かめていきます。
それぞれが異なる経験を持ち
そこに結びつける意味づけも
違うわけですから
目の前の方とまったく同じ言葉を
用いたときでさえ
その言葉の意味はもちろん
そこから連想するイメージ
または紐付いて蘇る過去の記憶も
まったく異なります。
単語一つとっても
自分の経験してきた意味づけだけで
目の前の相手を理解しようとすると
とんでもない、時に想定外の誤解が
生じていることさえあるものです。
セッションではただ相手のすべてに
全神経を浸かって集中をしているので
相手の些細な変化はすぐに
感じ取ることができます。
それと同時に、セッションの場合は
その瞬間にその場で
生じた誤解や齟齬をなくすための
照合のし合いを行い
相手が安心を覚えるまで言葉を尽くし
対話を通し分かち合いをします。
不特定多数の人々と日常の中で
接する際にも
こうした現象は多々あって・・。
意外と見逃してしまっていることも
多いのだろうなと思うことがあります。
けれども、コミュニケーションには
型にはまった正解などなく
やはり目の前にいる相手に対し
真摯に向き合い
その都度解消していくしか
ないのだと思っています。
心の中が見えたり聞こえたりしない
異なる人と人が触れあえば
誤解が生じることは当たり前。
まずはここを前提に
”ことばの意味づけ” を理解することが
大切なのかもしれません。
言葉、そしてそれを扱う人を
真に理解するということは
たいへんな作業なのだということ。
だからこそ、相互に理解しあえた時
本当に心が繋がったような
感動や一体感を得られるものだと
覚えておきたいものです。
意味づけを互いに照らし合い
互いが意図する正確な理解へ
進んでいくことは
どこまでも続く
相互理解のための旅です。
最初からわかり合えると思わずに
対話を丁寧に重ね
正直に気持ちを伝えあうことで
確認し合いながら交流する。
言葉を用いる社会的な動物である
私たちにとって
意味づけを理解しようとする試みは
自分の枠をさらに広げ
ものごとに対する別の見方や捉え方を
学ぶ大切な機会にも
なっているのかもしれませんね。
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今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
小松万佐子から皆様へのメッセージ
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