幼少時代のこと。
アンデルセンやグリム
イソップといった
欧州のおとぎ話に
3~4歳の頃は特に
強い影響を受けて
物語が常に頭の中にある状態でした。
皆さんの中にも
そんな方々が
いらっしゃるかもしれませんね。
この時期になると季節柄
『ヘンゼルとグレーテル』に登場する
あのお菓子の家を
(『魔女の家』のドイツ語が今ではこのお菓子の固有名詞になっている「ヘクセンハウス」ですね)
思い出して仕方ないのです。
家中がすべて
お菓子でできているなんて
夢のようだなぁと
子供心に強く憧れたものでした。
長野で知り合った
お菓子やパン作りの仲間が
もう何年も前になるようですが
この時季に共通の知人である
欧州菓子の先生の元で
このヘクセンハウスを
丸一日がかりで
家の骨格から細部に至るまでは
もちろんのこと
家の周りの草木や花
そして動物たちまで
マジパン細工や
わざわざ焼いた小さな焼き菓子を
一つ一つ使って製作したようです。
ヘクセンハウスを
教えてもらう際には
私は参加していないので
後日、写真を見せてもらったのですが
一目で、大変な手間がかかっていることは
充分よくわかりました。
特別な時季ならではの
特別なお菓子ゆえなのでしょう。
日本の大晦日や新年のお料理も
感謝祭からクリスマスと新年までの
一連の期間を大切にする文化同様
食を通して
様々な思いを込める季節とあって
たいへん手の込んだお料理を
各地域、ご家庭ごとに
受け継いでいらっしゃることと思います。
我が家では
母がもう何年か前に
「脱・おせち料理宣言」をし
家族内でも人気の高い黒豆や
母が得意とする
はんぺんたっぷりの
ふわふわ伊達巻き以外は
お正月の食卓におせちとしては
登場しなくなってきました。
その時々のリクエストによって
登場するかどうかといったところです。
子供の頃の私は
日本食が得意でないこともあって
まさに、昭和を代表する
ボンカレーのCMさながら
「おせちもいいけどカレーもね!」
の気分でいっぱいでした。
”頼むからカレーを食べさせてくれ~っ”
そんな気持ちで
退屈で退屈で仕方ないと思えた
食卓がお正月料理で
埋め尽くされる時季を
乗り切っていた気がするのです。
どんなことも
失ってみて初めてわかる
大切さ、尊さよ・・・。
先日チラ見した何かの番組でも
アンケート結果を
まとめていましたが
昨今ではおせち料理は
「家庭で作る」ものではなく
「購入する」ものなのだとか。
我が家ももれなく
今年は京都より
取り寄せてみることにしました。
過ぎし時間を振り返り浄化し
新しく巡り来る一年の健康と多幸を祈る。
様々な思いが込められた
特別なお料理を
忙しい時季にあえて時間を設け
手間暇をかけて作る。
その習わしを
今更ながら
惜しむ気持ちでいっぱいです。
先述のヘクセンハウスも
そうなのかもしれませんが
特別な思いを込めて
その時季だからこそ
作られ、いただける
大切なお料理やお菓子に表れる
大切な思いとその味わい。
毎日の食とは異なる
特別な思いが込められた食を
この時季だからこそ
美味しくいただきたいと思います。
物語のお菓子の世界では
ヘンゼルとグレーテルは
毎日毎日、通年
お菓子の世界の中に暮らしていました。
どんな時も、特別な食は
その時期、その時間だからこそ
特別に、しみじみと大切に
味わっていただく思いを
大事にしたいものです。
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今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
小松万佐子から皆様へのメッセージ
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