2年近く前になるでしょうか。
長野へ父親と二人だけで遊びにやってきた当時まだ3歳になったばかりの最年少の甥っ子を連れて、我が家からは少し離れた山の麓にある国立公園へ出かけました。
GWの頭とあって、たとえようもなく美しい絵画のような壮麗な景観が広がるベストシーズンの安曇野。
その端に位置する広い国立公園には一面に色とりどり、各種様々なチューリップが植えられそれはそれは見事でした。
お気に入りの童謡「チューリップ」や「どんぐりころころ」を繰り返し歌いながら、生まれて初めて見る眼下に広がる見渡す限りのチューリップ花壇に感嘆の声をあげうれしそうに駆け回っています。
少しばかり雨が残る日でしたから人はさほど多くありませんでした。
ある休憩所で小さな女の子を連れた若いご両親と一緒になりました。
女の子はちょうど甥っ子と同じくらいか少し上くらいの年齢でしたか。
最初は私も何の気なしに「あらら、○○ちゃん、お友達よ~。こんにちは~ってご挨拶ね~。よろしくね~って・・」などと彼に挨拶の機会を促してみましたが恥ずかしいのかモジモジして女の子を見もせずぶっきらぼうに「こんにちは」と言っただけでした。
一旦さよならをして、その場を離れ広大な園内を散歩するのですが、不思議なことに行く先々でその親子と出会うことになります。
4度目くらいのすれ違いざまに、突然、甥っ子がスキップをしていた女の子の横に並んで同じようにちょっとチグハグなスキップをし始めます。
そのまま見ていると女の子がしゃがんでチューリプを間近で見つめるポーズを同じようにして真似ますし、はしゃいで女の子が笑顔を向けてくれると同じような笑顔をつくって返します。
「すき」になっちゃったんでしょうね。
何から何まで女の子とそっくりな動作や表情をしては、後をくっついてまわっているのですからおもしろいですよね。
これを心理学では ”ミラー効果” と言いますが、好意を持つ相手の動作やちょっとした仕草、また言葉や表情を無意識、あるいは意識的に真似る、“同調効果”ともいわれ良く知られる行動です。
もちろん、3歳になったばかりの甥っ子は無意識のうちにそうしているのですが、あまりにもその芽生えたばかりの好意の表し方がわかりやすくて思わず女の子のご両親と一緒に談笑しながら観察してしまいました。
年齢と人生経験を重ねると、いつのまにやら知恵がつき、知識がつき、気が付けばわき上がる感情は後回しになって心よりも頭で考えることが優先になることも、特に恋愛の場面では多くなりがちです。
でも本来、恋愛って心も素っ裸で相手と向き合うものなのでおかしいくらいに格好悪くて当然なのですよね。
幼少期とは何もかもが異なりますが、誰かを好きになるという行為そのものはものすごく原始的で根本的なこと。
心の赴くままに行動する小さな子供にはっとさせられることがたくさんあります。
好きなものは好きと体のすべてを使って表現し、頭でこねくりまわす理屈や分析ではなくただただ心で感じて動く・・。
「すき」。
なんだか、ちょっぴりうらやましいです。
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今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
小松万佐子から皆様へのメッセージ