先日、友人がフェイスブックの投稿で書いてらした「私が今まで経験した中で最もワイルドな寝床はどんなだったかしら」という愉快でほっこりする一文についつい反応してしまったのでこちらでもご紹介します。
小学生の頃、活動そのものがガールスカウトに近い「子ども劇場」という校外サークルに所属していました。
お芝居や音楽、映画、人形劇といった想像力と創造性を掻き立てる生の舞台を仲間と一緒に鑑賞すること、また子供たちが協力して企画するバザーを定期的に催すのがメインの活動内容です。
夏休みになると親元を離れ、上級生やボランティアの中学、高校生のお兄さん、お姉さんが引率するキャンプに参加していました。
原始人に還るといったテーマでそれぞれ班が形成され、マッチやライターを使わずに工夫と実験を凝らして火をおこすことから始まる数日間の野外での共同生活です。
親から離れ自然の中で培われる仲間と過ごす時間は子ども心にも格別でした。
テント張りがうまくいかない班、日が暮れても火がおこせない班・・さまざまです。
いろいろな経験を通して、まずは試行錯誤しながら自分たちで考えてやってみる。そしてあれこれ試してうまくいかないときは他者の知恵を借り、協力し合いながらそれらを取り入れ応用してみるといったことを自然の中で学ぶ良い機会でもありました。
小学5年生の時に参加したサマーキャンプでのできごとです。
私たちの班は場所取りに出遅れ、「このエリア内で」と言われた場所に陣地をとることができませんでした。
困った挙句に少しばかり斜面のある限定された敷地の隅っこのほうにテントを張ることになりました。
今のアウトドアグッズは洗練され、また強度も高い品質が優れたものばかりですが昭和の当時はまだまだオレンジかブルーの三角テントにブルーシートを併せて用いるのが一般市民の主流でした。
滞在1日目の晩。
やはり初日の夜は慣れない設営の疲れや催し物での発表など一日の内容がてんこ盛りのスケジュールとあって、さすがにくたびれて子どもたちはおしゃべりもろくすっぽせず早く眠りにつきます。
私も仲間と早々にシュラフへ入って疲れたけれど何もかもが新鮮でワクワクする一日を終えた満足感に浸りぐっすりと寝ました。
・・・が、翌朝、何かしら冷たいものが顔をつつくので目を開けると、あららいったいここはどこなのでしょう。
目をこすりながら起き上がり辺りを見渡すと、シュラフには入っているもののテント内ではなく背丈の高い草が生い茂る野原のような場所です。私の顔をチクチクさした冷たいものの正体は、辺り一面に生い茂る朝露に濡れた葉っぱの先でした。
夢なのか現実なのかよくわからずにキョロキョロしながら背後を見てすべてを理解します。
どうやら、私は仲間のいるテントを張った場所から80m近い斜面下までシュラフで滑ってきたようです。
崖とは異なり、緩やかではありますが長い斜面がキャンプ地の下には続いていたのです。
途中、かなりの数の木や藪があったはずなのですが、よくぞぶつかることなく無事に平地まで流れ着いたものです。
しかもグッスリ眠ったまま・・。
テントを設けた場所が少しばかり斜めだったのでしょう。また、子どもが打ったペグダウンなので、地面にペグがしっかり入っていなかったのか。はたまた私の足元の寝相があまり良くないので寝返りを繰り返すうちに私の部分だけ抜けてしまったのか。
どうやら空いたスペースから私はスルスルと抜け出し、約80mの斜面を下って眼下の草地にたどりついたようでした。
捜索願いを出そうかと大騒ぎをしていた仲間や引率のお兄さんたちを余所に、シュラフを抱えて目をこすりながら戻るキャンプ地での朝。皆の安堵と笑い声に包まれて迎えたあの朝を、友人の投稿のおかげでものすごく久しぶりに思い出しました。
頬をくすぐる雑草の葉先と、むせかえるほどの草花が放つ青臭い匂い。
見渡す限り広がっていた朝陽に照り映えキラキラ輝く朝露を帯びた緑の世界は、仲間の笑顔や共に過ごしたあの時間同様に色褪せることなく鮮やかな光景のまま感覚と共に刻まれている子ども時代の大切な思い出の一つです。
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今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
小松万佐子から皆様へのメッセージ
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