鯛焼き

 

会社勤め時代の話です。

 

私のすぐ脇で新人さんが
一旦プツンと切れると
感情のコントロールが難しい上司に
ものすごい剣幕で怒鳴れている。

 

そんなシーンに
出くわしたことがあります。

 

伝え方に問題があるのはともかく
上司のおっしゃっていることは
ごもっともだったので

業務をこなしながら
入ってくるやりとりを
脳のどこかで捉えています。

 

一通り怒りを出し切ったのか
上司がその方に向き合ったまま
言葉を一旦止めると

その新人が
「あぁ、お腹空いちゃった」と
フロア内の奥にあった
共有冷蔵庫に向かうではありませんか。

 

まだ怒りの残る上司を前に
パカッと取り出してきた
アイスの蓋を開けて食べ始める。

 

ビックリして固唾を飲んでいると
案の定、叫びの混じったような
上司のお説教が始まります。

 

アイスを一つ食べ終わると
横にあった誰が買ってきて置いたのか
麻布十番の浪花家さんの鯛焼きに
手をつけパクパク食べています。

(当時は、報道フロアーの誰もが私たちの部署の脇にあったおやつ置き場に何かしらのおやつ菓子や出張や旅のお土産を置いていく風習でした。誰が手をつけてもよいのです。また、食堂で余分に手に入れたアイスはもちろん、冷えピタなど医療品に至るまで、様々な部署の、様々な信じられないようなものまで一緒くたに冷蔵庫には放り込まれていました。そして、業務中におやつを食べようが弁当を食べようが仕事さえしていれば何も言われない自由な職場、また時代だったのです)

 

誰もが唖然とするできごとで
その後どうなったのか
記憶が吹き飛んでしまっています。

 

その姿が間もなくフロアから
そして会社から
見えなくなったことだけは
しかと覚えています。

 

ふと、父に家事の些細なことで
くどくどしつこく言われた瞬間

「あぁ、お腹空いちゃったなぁ」

と言ってキッチンに置いてあった
鯛焼きにパクついた自分を俯瞰し

急におかしくなってしまい

20年近くも前の
件の衝撃的なシーンを
思い出してしまいました。

 

一体、どんな心境だったのでしょう。

 

今日の私の心境はというと

「あぁ、めんどくせぇ。
やってらんないぜ・・」。

 

当時の新人さんの心の声は
今となっては
知るよしもありませんが

延々と怒鳴られ続ける状況に
耐えるには
「腹が減っては戦はできぬ」の
心境だったのでしょうか。

 

誰もが恐れた上司の前で
あれをやってのけた
ある意味 ”吹っ飛んだ"
その方の行為の真相は
永久に謎のままです。

 

投稿者プロフィール

小松万佐子
小松万佐子こまつまさこ心理相談室(安曇野ルーム)心理カウンセラー
今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
小松万佐子から皆様へのメッセージ

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