”春は名のみの 風の寒さや 谷の鶯 歌は思へど 時にあらずと 声もたてず 時にあらずと 声もたてず”
(作詞:吉丸一昌 作曲:中田章)
「早春賦」
皆さんも、小・中学校時代などに歌われた記憶があるのではないでしょうか。
まさに三寒四温、寒さと暖かさが入り混じる時季になると日本のあちらこちらで歌われる春先を彩る代表的な唱歌の一つですね。
これは長野県の安曇野を歌った曲であり、そこに描かれる情景はまさに2月半ば辺りから今時分にかけて広がる安曇野一帯の里山そのものです。
「20~30年前に比べると寒さがずいぶん緩くなった」とこの土地に長く住まう方々はおっしゃいます。
けれども、私には十分堪える寒さでありこうして暖かな陽気が続く日々がどれだけ待ち遠しく、また春の到来がありがたいことか。
早春賦の調べを聴くと、しみじみと無事に春を迎えられた感謝がこみあげてきます。
暗く険しい道を歩んでいても、必ず巡ってくる祝福されたような陽光と暖かさを伴うその歩みの到達点。
そしてまたしばらくすると、そこから新たな旅路へと再び巡りゆく止むことのない人生行路はまるで日本の四季そのもののようです。
なにごともなくこうして無事に春を迎えられることは当たり前のようで、実は当たり前ではなくて。
「気づけばちゃんと春を迎えているんだなぁ」は、人生の瞬間瞬間でも同じことであって。
どんなに苦しくても、辛くても、巡る季節同様にきちんとその歩みが報われる瞬間がくるということ。
どうか、それだけは信じて皆さんもそれぞれ選んだ道を歩み続けて欲しいと思います。
そう考えると、夏の日照りや冬の極寒といった厳しい苦難もあるけれど、ささやかな季節の移ろいにさまざまな人生のタイミングにある自分の姿を重ね一喜一憂しながら胸を躍らすことができる・・・
そんな二十四節気のある国に住まう私たちは幸せなのかもしれませんね。
我が家の庭でもあちらこちらに新しい芽吹きを発見し、いつのまにやら色彩も豊かになってきました。
暖かい春の陽射しをありがたいと感じられるのは、長く厳しい冬の寒さを知っているからこそ。
皆さんが迎えたこの春が決して当たり前ではなく、ここまでさまざまなことを乗り越えてらしたこそ目に映る景色や陽光の暖かさだということをどうか忘れないでくださいね。
さあ、またここから次の新しい旅が始まります。
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今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
小松万佐子から皆様へのメッセージ
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