中学に入るか入らないの
10代の時分から
20代前半にかけて
何度か繰り返し読んだエッセイに
犬養道子さんの『お嬢さん放浪記』
そして、昨日訃報が伝えられた
小澤征爾さんの『ボクの音楽武者修行』
があります。
思えば、社会人になってから
しばらくしても
この2冊は
ドキドキ、ワクワクの
大事な源となるエッセイとして
手の届く本棚の位置にあり
多感で好奇心と冒険心に充ちた
私自身の若い時期
大切な人生の時間において
実に多くの場面で
その痛快さと豊かな経験を通して
大きなエールをいただきました。
エッセイに綴られている
広くて大きな世界
そして、そこで主人公である
お二方それぞれが出会う
様々な土地や文化、歴史
そこに住まう異なる背景や
価値観を持つ人々・・
大いに影響を受けた私は
時に、海外にいる友人(英国人)と
その家族の力を借り
すべて一人で
現地の学校相手に
勝手に英語の文章を大量に綴り
そのやり取りだけで
日本人などもちろん誰もいない
現地校である
中高一貫スクールへ編入する手続きを
行ったかと思うと
さっさと渡航して編入してしまい
親を含めて
日本の学校、当時の教育機関から
相当な大目玉を食らったことも
10代半ばに経験しました。
今のように、渡航がまだ
気軽で容易ではない時代でした。
ただ、その無鉄砲ながらも
怖いもの知らずの若い感性で
なんでも自分でやってみるという
経験を通して
冷戦の真っただ中にある世界を
訪ねる地域や人々の
なんでもない普通の日常生活に
触れて歩くことを通じて
己の人生における
年齢だけに拠らない
経験不足はもちろん
無力さ、未熟さをも
広い世界を通して
しっかり感じる時間であったことは
いうまでもなく
そんな自分を見守り
支え、助けてくれる存在が
大事な場所(帰る場所)はもちろん
あらゆる場面に
あったという経験を通して
心の成熟のために必要な
大きな、大きな気づきや
未来の扉を開くきっかけを
たくさんいただきました。
どんな時も、人に力を与えるのは
その人が自らの行動をもってして
切り拓いてゆく
人生の一コマ、一コマ
であるように感じています。
たくさんの素敵なエールを
とても大切な若き時代に
軽快な文章を通して
いただいたことに
心より感謝しています。
こうして綴っていますと
『ボクの音楽武者修行』の
ケガをした姿を親御様に隠して
帰宅した際の1シーン
リヤカーで運んだピアノなど
細かくささやかな場面まですべて
リアルに思い出します。
私の育った時代とは
少し異なるものの
当時の時代背景をも
しっかり感じ取れる物語の中
豊かな心を全開で生きていらした
やはり若かりし頃の主人公、小澤さんを
感じさせていただく
素敵な、素敵な時間でした。
やんちゃでいらっしゃるも
周囲から温かく見守られ
何より愛され、応援され
尽きない好奇心、冒険心
そして揺るがない意志と
豊かな感性と突き抜けた才能で
やりたいことを成し遂げてゆく。
国内外各地、各所で聴かせていただいた
素晴らしい音楽と同じくらい
件の一冊からは
たくさんのものをいただいておりました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
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今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
小松万佐子から皆様へのメッセージ
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