今日ご紹介する「わたしのお気にいり」は松本市、あるいは安曇野市からその美しく雄々しい姿を仰ぎ見ることができる常念岳です。
北アルプスといわれる飛騨山脈南部に位置する常念山脈の稜線のなかでもひときわ目を引くピラミッド型をした主峰、常念岳。標高2857mを誇るこの山は眺める場所によって少しずつ目に映る形が異なるのもおもしろいです。
数年前、25年近くぶりに再び長野へ住まうため足を運んだばかりの頃、運転免許のない私にとって大糸線(松本駅から穂高や白馬などを経て新潟県は糸魚川へと続くローカル線)に乗車し、松本駅と住まいのある最寄り駅とを行き来する車中、片道わずか15分足らずの時間はちょっとした贅沢を味わう至福のひとときでした。
件の大糸線はこの北アルプスに沿うように平行して走っています。
私は大きな車窓から覗く雄大な景色に目をキョロキョロさせ、窓にベッタリはりついて眺めては見惚れてため息をついていました。
この土地にずっと住まっている方々にその素晴らしさを改めてどんなに力説してもこのゴージャスで贅沢な風景を眺める日常が当たり前だからなのでしょうか。なかなか良さを見直すまでは至っていただけないのは残念です。
勝手に言わせていただけるのであれば、まさに原風景を地でいく絵に描いたようなその素朴な美しさは、誰もが脳裏や胸に刻んでいるそれぞれの故郷の風景や、あるいは都市部で生まれ育ったいわゆる田舎のない方でも拠り所となるような "心のふるさと" に繋がる独特な郷愁感を併せ持っているようにも感じます。
2~3輌ばかりのかわいらしいローカル線の電車の大きな車窓から、この迫りくるような雄大な山脈をバックに広がる田園風景、またそれらを四季折々、色彩豊かに染め上げる草木や花々を眺めるだけで心が洗われ、また救われるような気がしたものです。ちょっとした桃源郷のようにさえ思えました。
とりわけ、5月のGW前後の景観は秀逸だと個人的には思っています。水を張った田園に、まだ山頂には真っ白な雪が残る常念岳を主とする山脈が、芽吹いたばかりの新緑や萌黄、薄紅色、白、紫、黄色、桃色といった春の花々に縁を彩られるかのようにその水面へ映り込む様子はさながら壮麗な絵画のようです。
私自身、山登りは学童期、また学生時代や社会人含めて10数回ほど経験があるだけで、その醍醐味や間近で触れ実感する山の素晴らしさを味わうには、残念ながらまだ経験が少ないです。
あくまでも、平野から眺める北アルプスのすばらしさになってしまうのですが、それでも迫りくるような山をこれだけ身近で感じられる環境はなかなかないのではないかと贔屓目でみてしまっています。
欧州にいらしたことがある方は、スイスや北イタリア、またオーストリアのチロル地方やインスブルックに非常に近い雰囲気があるとお気づきになるかもしれませんね。アルプスと呼ばれるのもよくわかるような気がします。
この常念岳を見上げるだけで、日々の暮らしのなかの些細なことでモヤモヤさせていた心の霧が晴れてしまうことも多いくらい私にとっては今や、心の拠り所になっている風景です。
また、心を晴れやかに浄化すると同時に、その壮大なる景色を前に己のちっぽけさを改めて思い知り、ときに思い上がりを戒めるような畏敬の念を抱く対象でもある北アルプス、常念岳。
生きている限り、この「お気に入り」の姿が私の心象風景にはずっと刻まれるのではないでしょうか。
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今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
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